カレーは暴力的な食べ物だ。
大抵の具材はカレーに合う。「もしかしたらこれはきついか…?」という具材でさえ、カレーはその暴力的なまでの包容力で包み込んでしまう。
毎日楽しいことばかりではないけれど、とりあえず今日のところは一緒にカレーを仕込んでみませんか?
材料(ほぼ4食分)
玉ねぎ・・・1つ
にんにく・・・1欠片
しょうが・・・少々
カレー用牛肉・・・好きなだけ
山芋・・・1/2本
市販のカレールー(中辛)・・・1/2パック
水・・・カレールーのパックの指示通りに(たぶん500〜700mlくらい)
サワークリーム・・・大きめスプーンに2杯
生クリーム・・・最後にかけるだけなのでなくても可
クミン・・・少々(ただしなくても可)
シナモン・・・少々(ただしなくても可)
作り方
1 玉ねぎを粗みじん切りにする
粗さは自分次第。最終的に、存在感を匂わせつつも他の具材を邪魔しないところに着地できればいいのだ。
私もそういう人間でありたいけれど、思い返すと、私には匂わせる存在感もない。もしかしたら私はこの世に存在していないのかもしれない。
2 にんにくと生姜をおろす
めんどくさいときはチューブでOK。「手間をかけるほど偉い」なんて言う人のことを気にする必要はない。
そういう人は大抵の場合他人のかけた手間にタダ乗りしているだけだから。
3 山芋を一口大に切る
一口が大きくてもかわいいし、一口が小さくてもかわいい。要は、食べやすい大きさに切ればそれでよし。
4 1と2を炒める。玉ねぎが飴色になったら、水を加えて中火で煮る。
飴といえば、私は黄色の飴を思い浮かべる。周りがザラメに覆われていて、タコ紐がついている円錐形の飴。
なお、ここでいう飴色は茶色のこと。琥珀色の一歩手前くらいを目安にしたらいいと思う。
5 ややお湯が沸いてきたかな?というタイミングで牛肉を投入
鍋の底からふつふつと泡が浮かんでくるのを見ると、クラゲを思い出す。彼らは泳いでいるのではない。ただ漂っているらしい。
漂うのだって、楽じゃない。
6 5とほぼ時を同じくして山芋も投入する
とろろ芋を箸で上手に食べる方法が分からないまま30年近く生きてしまった。
大人って、もっと物知りな生き物だと思っていた。大人に対する根拠のない期待をそろそろ捨てたい。
7 灰汁をとりつつ、軽く煮込む
山芋のシャクシャク食感を残したい人は、あまり煮込まない方がいい。ホクホクした食感を楽しみたい人は煮込んでもいい。
カレーくらい好きに作らせてくれ。
8 一度火を止め、カレールーを入れて混ぜる
「市販のルーを使うなんて、料理好きとは言えない」と言う人がたまにいる。「料理」が何なのか定義せずに喋り出すな。定義したあとも喋るな。
9 カレールーが溶けきったらサワークリームを大きなスプーンで2杯入れる
サワークリームって高い。でもおいしい。でもやっぱり高い。
そんなときはヨーグルトで代用してもOK。ヨーグルトを使うときは、調理を始める1時間ほど前に水切りをしておくのがおすすめ。
10 弱火で煮込みながら、クミンとシナモンを少々加える
なければ加えなくてもOK。他にもスパイスを加えたいなら、加えてもOK。
おうちカレーは作り手が法。誰も私たちを縛ることはできない。
11 全体をいい感じに混ぜたら完成
好みで皿に盛り付けたあと生クリームをかけてもよし。よりまろやかになる。
カレーはじゃがいも以外の芋にも優しい
カレーの具材といえば、肉・玉ねぎ・じゃがいも・にんじんの4つを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
でも、カレーはじゃがいも以外の芋であっても軽々と受け止めてしまう。私たち人間なんて、見た目や考え方が自分とちょっと違うだけの人を受け入れられないこともあるのに。
自分にも人にも寛容になりたいと思ったときは、「ビーフと山芋のカレー」を仕込んでみては?
もしかしたら、少しだけ優しくなれるかもしれない。
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レシピ・写真・文/大河ミズキ
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